ネタバレあり
みなさんが『鬼滅の刃』に登場する鬼を見たとき「違和感」を感じませんでしたか?鬼といえば、つぎのようなイメージが浮かびます。
- 2本の角
- 牙
- 赤や青のような肌色
- こん棒を持っている
しかし作中では、つぎのような特徴を持つ鬼もいます。
- 角を持たない者
- 人間の肌色に近い者
- 武器が多様
- 血鬼術という異能を操る
要するに『鬼滅の刃』の鬼は、日本古来の鬼のイメージとかけ離れているのです。
吸血鬼の特徴を持ち合わせながら、「鬼」という言葉で称されるという、複雑で不思議な世界観が作品の魅力を形作っています。
今回は、『鬼滅の刃』の鬼が一体何者なのか、なぜ吸血鬼の特徴が取り入れられたのかについて考察します。
- 『鬼滅の刃』の鬼の特徴
- 吸血鬼の特徴が組み込まれた理由
【この記事を書いた人】
・年齢1ケタの頃から30年以上マンガを愛する2児ママ。
・電子コミック歴6年(学生時代も入れると10年)
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『鬼滅の刃』の鬼とは
日本古来の「鬼」と「吸血鬼」の特徴をかけあわせたもの。
鬼と吸血鬼を融合させた『鬼滅の刃』の鬼
一般的な「鬼」や「吸血鬼」の伝承から見られる代表的な特徴をつぎの表にしました。
〇は「鬼滅の刃の鬼」の特徴と合致する所です↓↓
種 別 | 特 徴 |
---|---|
鬼 | 人間の力を超えた性質を持つ 縁者を襲う 被害者が鬼化する 不死ではない 退治方法に地域差あり 太陽が弱点ではない | 怨念や悪意から発生
吸血鬼 | 感染症による死者から生まれる 死者から蘇る 縁者を襲う 被害者は吸血鬼化 不死・変化能力 特定の方法で退治される 太陽の光で灰になる |
種 別 | 特 徴 |
---|---|
鬼滅の刃の鬼 | 怨念や悪意から発生 人間の力を超えた性質 縁者を襲う 被害者が鬼化する。 不死・変化能力◀吸血鬼特有の特徴 特定の方法で退治される◀吸血鬼特有の特徴 太陽の光で灰になる◀吸血鬼特有の特徴 |
【吸血鬼特有の特徴】
- 不死・変化(へんげ)能力
- 特定の退治方法
- 太陽の光で灰になる
このように、吸血鬼特有の特徴が「鬼滅の刃の鬼」には組み込まれています。
【参考文献】京都大学大学院教育学研究科紀要「吸血鬼と恐れの変容 : 心理臨床における異界との関わりについての一考察」井上嘉孝著
「鬼」と「吸血鬼」の共通点と相違点
「鬼」や「吸血鬼」の共通点と相違点を比較しながら、『鬼滅の刃』の鬼の特徴について詳しく探っていきます。
「鬼」と「吸血鬼」の共通点
特異な存在からの発生
鬼は怨念や悪意によって鬼に変化し、吸血鬼はポルフィリン症という感染症を患った死者から蘇える、とされています。
【参考】ログミーBiz「太陽を恐れ、生き血を吸うヴァンパイア伝説を科学的に説明できるか?」
超越的な性質
鬼は人間を超えた力を持ち、吸血鬼も死者から蘇った超自然的な存在とされています。
縁者への影響
鬼も吸血鬼も、家族や縁者を襲うことがあります。
感染の要素
吸血鬼の被害者が吸血鬼になるという点や、鬼の被害者が鬼になることも一部で語られており、感染の要素が共通しています。
「鬼」と「吸血鬼」の相違点
引用:鬼滅の刃15巻127話「勝利の鳴動」
次は、鬼と吸血鬼にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
変化(へんげ)と不死
吸血鬼は人間から変化(へんげ)する能力や不死という特徴を持つ一方、鬼は怨念や悪意によって形成され、外見の変化や不死性は強調されません。
退治方法の性質
鬼の場合、地域や文化によって退治方法が異なります。吸血鬼の場合、十字架や銀の弾丸など特定の弱点が一般的に知られています。
太陽の光
吸血鬼は太陽の光を浴びることで灰になるとされていますが、鬼は太陽による弱点は一般的には言及されていません。
『鬼滅の刃』の鬼の特徴
引用:鬼滅の刃1巻4話「炭治郎日記・前編」
鬼と共通する『鬼滅の刃』の鬼の特徴
「鬼」と『鬼滅の刃』に登場する鬼に共通する特徴はおもに3つあります。『鬼滅の刃』の例も交えて解説します。
怨念や悪意
人間が鬼に変わる要素としては「怨念」と「悪意」が重要です。言いかえれば、これらの感情に支配されない者は、完全な鬼にはなれません。
代表的な例が竈門禰豆子です。
禰豆子は鬼になっても強靭な精神力で、怨念や悪意の感情に打ち勝つ希少な存在でした。彼女は後に、『鬼滅の刃』に登場する鬼たちの弱点である太陽を克服する強さを示します。
縁者を襲う
引用:鬼滅の刃2巻8話「兄ちゃん」
鬼滅の刃に登場する「鬼」で、縁者を襲った例はいくつかあります。
- 竈門禰豆子
- 手鬼
- 下弦の伍・累(るい)
- 不死川実弥の母親
禰豆子は鬼になったとき、兄の炭治郎を食べようと馬乗りになり襲い掛かりました。(結果、強靭な精神力で回避して炭治郎を食べませんでした。)
藤襲山の最終選別で現れた「手鬼」も実兄を食べていました。
那田蜘蛛山で遭遇した下弦の伍・累も両親を殺害していました。
不死川実弥の鬼化した母親も自宅まで戻って自分の子ども達を殺めました。
被害者が鬼になる
引用:鬼滅の刃1巻1話「残酷」
作中では、鬼の血を体内に取り込んでしまった人間は鬼になります。傷口から入ってしまったり、中には上弦の陸・獪岳のように鬼から「血」を与えられて鬼化する者もいます。
吸血鬼と共通する『鬼滅の刃』の鬼の特徴
吸血鬼と『鬼滅の刃』の鬼に共通する特徴は、おもに3つあります。
不死性と変化(へんげ)能力
引用:『鬼滅の刃』2巻・8巻
引用:『鬼滅の刃』13巻・14巻
「不死性」とは、死なない、永遠に生き続けるという意味です。鬼滅の刃の鬼は、日光・藤の花の毒・日輪刀による頸の切断以外では死にません。
「変化(へんげ)能力」は鬼舞辻無惨が分かりやすい例になります。彼は外見を実業家、芸妓、資産家の子供など、さまざまに変えることができます。他の人間や生き物に変化(へんげ)する能力です。
中には玉壺のように、もはや人間とはかけ離れた壺から現れる半魚人という異様な生物になる鬼や、半天狗のように分裂体を形成する鬼もいます。
特定の方法で退治される
「鬼滅の刃の鬼」は、つぎの3つの方法で死に至ります。無惨は「太陽」以外の方法を克服しています。
- 日輪刀による頸の切断
- 太陽光
- 藤の花の毒
太陽の光で死ぬ
引用:鬼滅の刃1巻3話「必ず戻る夜明けまでには」
最も吸血鬼の特徴に酷似しているのが「太陽の光に当たると灰になって死ぬ」という点です。
この特徴は吸血鬼に類似するもので、鬼の始祖である鬼舞辻無惨が鬼に変わった理由は「吸血鬼のウィルス」によるものではないかという仮説も存在するほどです。
吸血鬼の特徴が取り入れられた背景
八幡竈門神社の鬼の伝承
引用:大分県ぶらり歴史めぐり
八幡竈門神社には「夜が明けたことに驚いて逃げる鬼」の伝承が存在する。
吾峠呼世晴氏(通称「ワニ先生」)は、鬼の設定を決める際、古事記や日本書紀を参考にし、また自身の地方からの要素を取り入れることで知られています。
ワニ先生の生まれ故郷である福岡には宝満宮竈門神社が存在しますが、興味深い鬼のエピソードは大分にある八幡竈門神社に存在します。
通常、鬼は太陽を弱点としないことが一般的ですが、八幡竈門神社には「夜が明けたことに驚いて逃げる鬼」という例外的なエピソードが存在します。具体的に陽光で灰になるとは述べられていないものの、主人公である竈門炭治郎の苗字が神社の名前に含まれていることから、少なからず作品に影響を与えた可能性が高いのではないでしょうか。
異国からきた吸血鬼
また別記事でご紹介していますが、
『鬼滅の刃』の前身作である『過狩り狩り(かがりがり)』と『鬼殺の流(きさつのながれ)』には、異国から来た吸血鬼が敵として登場します。これらの作品は竈門炭治郎が主人公ではないものの、鬼舞辻や珠代、愈史郎といったキャラクターのモデルとなった鬼や、剣士が呼吸を使うなど、『鬼滅の刃』の設定と酷似しています。
ワニ先生が八幡竈門神社の鬼の伝承からインスパイアを受け、鬼と異国の吸血鬼の特徴を融合させた可能性は高いのではないかと考えられます。
まとめ
『鬼滅の刃』の鬼は、日本の伝統的な「鬼」と「吸血鬼」の特徴が結びついており、この融合が特徴的でした。
また、この作品は古典的な伝承や作者の地元の神社仏閣など、歴史に根ざした要素を取り入れていることでも知られています。この点から、大分にある「八幡竈門神社」の「夜が明けたことに驚いて逃げる鬼」が作中の鬼のモチーフである可能性が挙げられます。
さらに、同じ太陽を弱点とする「吸血鬼」の特性が、同作品のプロトタイプである『過狩り狩り』『鬼殺の流』の2作品に登場する吸血鬼からもわかるように組み込まれていました。
鬼と吸血鬼の特徴の融合が、『鬼滅の刃』の鬼のキャラクターが個性的で魅力的になり、作品の爆発的な人気に寄与したと言えます。
もう一度、作中の鬼たちを見比べながらその魅力の奥深さに触れてみましょう!!
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