ネタバレあり
鬼でありながら、鬼の始祖・鬼舞辻無惨に反旗を翻し、鬼殺隊とともに戦った珠世。
彼女は、蟲柱・胡蝶しのぶとともに、無惨を倒すための薬の開発に挑みます。そして、産屋敷邸に現れた無惨に対し、先制攻撃を仕掛けた耀哉。
珠世は、浅草で鬼にした男性の血鬼術で無惨を捉え、その隙に、愈史郎の目くらましの術で忍び寄り、自身の腕ごと無惨に吸収させます。
その拳には「鬼を人間に戻す薬」が握られていました。
- 無惨に打ち込んだ「鬼を人間に戻す薬」とはなんなのか?
- 無惨と禰豆子以外に、誰に使用するつもりだったのか?
3つ目の薬は誰のために準備されていたのか考察しますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 「鬼を人間に戻す薬」とは何か。
- 珠世が打ち込んだ薬の効能。
- 3つ目の薬は誰に使われるためにあったのか?
- 珠世が鬼になった経緯
- 継国縁壱と珠世の関係
【この記事を書いた人】
・年齢1ケタの頃からマンガを読み続けている。
・鬼滅の刃考察動画をYOUTUBEにて配信。
珠世
引用:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴
公式ファンブックによると肉体年齢は19歳。
童顔で、15歳から16歳ぐらいに見られることもあったそうですが、
数100年の年齢を重ね、所作も上品で落ち着いています。
長年に渡り鬼の研究を続け、医学に精通。
炭治郎と禰豆子に初めて会った際には、
鬼ですが、医者でもあり、あの男、鬼舞辻を抹殺したいと思っている
引用:鬼滅の刃2巻
と自身を「医者」だとはっきりと述べており、人間時代から医者であった可能性が高いようです。
そして、無惨の呪いも解いた稀有な存在。
珠世が無惨と出会ったのは戦国時代、およそ400年前のこと、
当時重い病気を患っていた珠世。
無惨と産屋敷邸で対峙したとき、
そんなことがわかっていれば私は鬼になどならなかった
病で死にたくないと言ったのは、子供が大人になるのを見届けたかったからだ
引用:鬼滅の刃16巻
と話しており、無惨が珠世をだまして鬼にしたことが伺えます。無惨がわざわざ珠世をだましてまで鬼にしたのはなぜか。
それは、珠世の医学の知識を利用したかったからにほかなりません。
普段は傍らにだれかを置くことなどしない無惨が、連れて歩くほどの鬼が珠世でした。
日の光を弱点とする不完全な身体を持つ無惨。
医者である珠世を鬼にして利用し、鬼の弱点である太陽を克服する完全な身体を手に入れようと考えたのだと思います。
最強の剣士・継国縁壱
引用:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴
戦国時代、無惨は、鬼殺隊最強の継国縁壱と遭遇。
珠世はそのときも無惨の傍らにいました。
無惨が唯一、脅威を感じた相手、それが継国縁壱。
縁壱は無惨の頸を切断し、もう一歩のところまで無惨を追い詰めるものの、そのときすでに、頸の弱点を克服していました。
自身の身体を1800もの肉片に分裂させ、縁壱から逃げおうせます。
珠世は縁壱が初めて、憎き無惨を追い詰めたことに、心をときめかせ、瞳を輝かせ凝視しますが、あと一歩のところで無惨が逃げてしまったことに、頭を掻きむしって悔しがります。
死ねば良かったのに!!
あの生き汚い男!!
鬼舞辻無惨・・・!!
引用:鬼滅の刃21巻
その様子を見た縁壱は、珠世が他の鬼とは違うことを感じ、鬼の珠世を殺さず、無惨を倒す手助けをしてほしいと頼みます。
珠世は戸惑いつつも、縁壱の頼みを承知して、縁壱から見逃がしてもらいます。
鬼になってからの珠世は、自我を失い、愛する夫と子どもを喰い殺し、そのことでさらに自暴自棄になって、多くの人々を殺してしまいました。
しかし、鬼である自分を信用して、逃がしてもらったことに、心から喜びを感じた珠世は、縁壱の言葉を胸に、その後、どんなに苦しくても決して人を喰うことなく、動物や人間の死骸などで飢えをしのいだといいます。
聡明で落ち着き払った珠世の姿からは想像もできないような壮絶な過去があったのです。
珠世は、縁壱によって無惨が弱体化したときに、一時的に無惨の呪いから外れることができました。
過去から繋がる「想い」
引用:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴
珠世は自身の身体を研究し、輸血と称して、少量の人間の血液をもらい、それを飲むだけで事足りるようになりました。
珠世は、余命わずかな人たちに、鬼となっても生きながらえたいか尋ねてから、鬼になる選択をした人にだけ、鬼にする処置をしました。
そうして200年以上かかって鬼にできたのが愈史郎ただ一人。
炭治郎は、珠世の匂いから清らかな誠実さを感じ取ります。
そんな炭治郎に珠世は2つの事を依頼。
- 2年以上も人を喰わない禰豆子の血を調べること
- 鬼舞辻に近い「十二鬼月」の血を採取すること
このように珠世が炭治郎を信頼して、治療薬の開発の助力を得ようとしたのは、かつての継国縁壱のように、自分を「鬼」としてではなく、「人」と同じように信頼してくれた姿を、重ねたからではないでしょうか。
無惨を倒すためには、鬼を人間に戻す薬が必要。
しかし、珠世はわかっていたのです。
無惨は、時間さえあれば、どんな薬も分解して無効化してしまうことを。
無惨を倒すためには、あくまでも無惨の唯一の弱点である「日の光」しかない。
そのためには、夜明けまで無惨と戦ってくれる者を見つけることが珠世の目的だったということが、公式ファンブックに記されています。
そして、その希望の光が炭治郎であり、禰豆子だったのです。
炭治郎は元下弦の鬼・響凱と、上弦の陸・妓夫太郎と堕姫の血を採取。
珠世の研究の一助となります。
薬の共同開発
引用:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴
鬼殺隊当主・産屋敷耀哉は、炭治郎と珠世に接点があることを把握するも、鬼である珠世を討つことはせず黙認。
珠世と接触を図ろうと、居場所をつきとめるべく、情報を収集していました。
耀哉が珠世を探していたのは、ともに鬼舞辻無惨を倒すため。
珠世の医学の知識を、鬼殺隊で薬学に精通した胡蝶しのぶとともに生かし、無惨を倒すための薬の開発、そして太陽を克服した禰豆子について調べることを目的として。
耀哉は使いの鴉を通じて、珠世を鬼殺隊本部へと招き、珠世もこの申し出を受け入れて本部へ向かいます。
胡蝶しのぶの協力により、珠世が長年研究を重ねていた薬の開発は劇的に進みました。
四つの薬
引用:鬼滅の刃23巻
無惨を倒すために作られた薬の効果は全部で四つ。
これは、無惨が薬を分解することを前提とした上で、複数のかけ合わせにしたため四種類になりました。
①鬼を人間に戻す薬
一つ目は「鬼を人間に戻す薬」。
この薬は、耀哉と珠世が無惨に奇襲をかけた同時期に、禰豆子にも使用されています。
最初に作用する、この人間返りの薬が効かなかった場合、残る三種類の薬がより強力に作用するよう細工が施されています。
そして、珠世としのぶの予想通り、人間返りの薬は無惨によって分解されてしまいます。
②老化の薬
二つ目は「老化」。
1分で50年という、驚異的な勢いで老いていきます。
しかし、無惨の生命力ゆえに、見た目には頭髪が白くなっているだけで、それ以外に、外見から老いを確認することは難しいと言えます。
無惨がこの事実に気づいたときは、薬が3時間以上作用している状態だったので、なんと9000年も老いていました。
この時には、精彩を欠いた技を繰り出す炭治郎でさえ仕留めることができなくなるほど、無惨は老いにより動きが遅くなっていました。
③分裂阻害の薬
三つ目は、「分裂阻害」。
縁壱の邂逅のすえ、身体を分裂させて逃亡した無惨を見た珠世が、その対策として開発。
最終戦で追い詰められた無惨は、再び分裂して逃亡しようと試みますが、この薬の作用により、分裂することができませんでした。
④細胞破壊の薬
最後は、「細胞破壊」。
他の三種類の成分で弱った瞬間を狙った薬。
細胞を破壊し体内から直接無惨に損傷を与えるものです。
珠世と胡蝶しのぶが開発したこの4種類の薬は、最後まで無惨の予想を超えた効果を発揮。
薬の正体も、何種類かけ合わせられているかも分からない状態で、そして初めて鬼に注入されたものだったため、無惨は分析・分解に、多くの時間と体力を要しました。
また珠世は、無惨に打った4種類の薬のほかに、「血鬼止め」という薬も開発していて、何度も鬼殺隊の窮地を救っています。
血鬼止め
血鬼止めは、血鬼術によって負傷した隊士に対して、術の進行を抑制する治療薬。
この薬を愈史郎と猫の茶々丸に託し、愈史郎は重症の者をこれで治療。
茶々丸は、柱たちが無惨の毒によって攻撃力・体力ともに低下し、いよいよ夜明けまで持たないと希望を失いかけたとき、不意に現れ、柱たちにロケットランチャー方式で血鬼止めを打ち込むという活躍を見せます。
鬼の血鬼術で、細胞を破壊された場合、人間にはどうすることもできませんが、珠代はそこまで想定して、血鬼止めで治療をしながら、少しでも長く戦い、無惨を太陽のもとに引きずり出すことができるよう考えていたのだと思います。
珠世が作った血鬼止めは、大きな効力を発揮し、負傷した柱や隊士たちを何度も戦線に復帰させることができました。
死んで尚、癪に障る女だ
引用:鬼滅の刃22巻
無惨は、茶々丸が放った血気止めによって復活していく柱たちを見ながらをいらだちを隠せませんでした。
三つ目の薬の行方
無惨を弱らせ、不死を夢みる無惨に対して、老化という苦しにを与え、分裂阻害により逃亡を阻止し、最後に細胞破壊という苦しみを与え続けた珠世。
そして、彼女が無惨に最初に効かせた人間返りの薬は、実は3つ作られていました。
最初に摂取したのは禰豆子。
つぎに、鬼舞辻無惨。
そして3人目が謎となっています。
この3つの薬は、珠代が鬼殺隊に招かれ、胡蝶しのぶと薬の共同開発をしていさ中、最終戦の間際に完成したもの。
禰豆子は、炭治郎や柱たちが無限城に落とされた時にはすでにこの飲んでいました。
無惨は珠代によって人間りの薬が打ち込まれ、珠代やしぶの予想通り、薬は分解されてしまいます。
最後に残った薬は一体誰に使うために作られたのか?
愈史郎
まず考えられるのは「愈史郎」
珠代は自分の身を挺して無惨に薬を注入することを考えており、死を覚悟していました。
残された愈史郎が死ぬこともなく、一人孤独に生き続けること案じて人間が返りの薬を託すことは、ごく自然なことです。
人でなくなることは辛く苦しい
引用:鬼滅の刃3巻
こう語っていた珠代は、鬼となった自分が、死ぬこともできず、孤独に生き続けた苦しみを誰よりも理解していたからこそ、愈史郎には、人として普通に死を迎えてほしいと願ったのかもしれません。
しかし愈史郎に人間返りの薬を託したとすると、最終決戦の間際に鬼にした茶々丸の存在に矛盾が出てきます。
珠代が茶々丸を鬼にしたのは、愈史郎がひとりぼっちにならないよう、寂しくならないようにと考えてのこと、と単行本22巻で明かされています。
愈史郎を鬼に戻そうとしているのに、茶々丸を鬼にする、というのはとても矛盾を感じますよね。
これは推察ですが、珠代は最終決戦に向かう前、愈史郎に人間返りの薬を渡そうとしましたが、愈史郎がこれを拒んだためだと考えられます。
これまで常に珠代のそに寄り添っていた愈史郎ですが、最終戦では珠代と別行動を取ってい
ます。
これは珠代が愈史郎に頼んだためであることが、単行本16巻で明らかにされました。
珠代は愈史郎に、血鬼術によるけがの治療薬・血鬼止めを渡していることから、けが人の治療および援護、そして、耀哉によって愈史郎の対戦相手に想定されていた、無限城を操る鳴女と戦うためだと考えられます。
すべては珠代の悲願、憎き鬼舞辻無惨を倒すため。
愈史郎は、人間に戻るのではなく、珠代と共に鬼として戦うことを選んだのではないでしょうか。
浅草の男性
引用:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴
では、3つ目の薬は誰に使われたのか?
それは「浅草で無惨によって鬼にされた男性」が考えられます。
浅草で無惨に鬼化させられた男性が自我を取り戻しました
無惨の支配からも解放され少量の血で生きていられる引用:鬼滅の刃15巻
と珠代が炭治郎に宛てた手紙に書いてあります。
つまり、浅草の男性は自我を取り戻したものの、血を飲まなくては生きていけない。
すなわち、珠代と愈史郎同様、無惨の呪いから外れてはいるが、鬼のままであるということになります。
鬼である限り、描写の通り抱き合って喜び合っている妻と思われる女性とも、いつか必ず別れが訪れます。そして孤独に行き続けなければならない。
無惨によって、不幸になる人生を送る人をこれ以上出したくない、という珠世のせめてもの願いがこの3つ目の薬には込められているようです。
この戦いののち、珠代を失った愈史郎は、炭治郎に「死なないでくださいね」と言われて少し驚いたような表情をして、押し黙るシーンがあります。
まるで愈史郎の気持ちを炭治郎が見透かしているかのように。
何も言わずに愈史郎は炭治郎の前から去りますが、茶々丸と共に鬼のまま生きていくことを選びました。
来世では愈史郎と夫婦になることを約束した珠世。
珠世を想い続け、数百年後に人間として転生した珠世と共に添い遂げる時には、愈史郎の鬼の血も薄くなって、二人寄り添い、人間として年を重ねたかもしれない、と公式ファンブックには書かれてあります。
以上のことから、3つ目の薬は、愈史郎ではなく、無惨によって鬼化させられた「浅草の男性」に作られた可能性が非常に高いと考えられます。
さいごに
引用:鬼滅の刃21巻
珠世が残した功績は絶大なものでした。
しかし鬼の始祖を討伐するという、大功績の立役者であるにもかわらず、死してなお、長い年月をかけて罪を償わなければなりません。
しかし、愈史郎が待つ平和な世界に転生して、今度こそ愈史郎や茶々丸と共に幸せな人生を歩んでもらいたいと思います。
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